国創プロジェクト — 調査資料

財政難自治体リスト
令和5年(2023年)以降 · 北から南順

財政非常事態宣言・財政再生団体・基金枯渇など、令和5年以降にニュースとして大きく取り上げられた自治体を整理。自治体名・主な理由・参考動画URLをまとめた。

自治体
財政難の主な理由
参考URL
北海道 北見市 財政危機宣言 ▶ 参考URLを見る
毎年約30億円の財源不足が継続し、将来負担比率は全国でも極めて高い水準にある。公共施設の廃止やごみ処理料の値上げなど、痛みを伴う措置を断行している。
北海道 夕張市 財政再生団体 ▶ 参考URLを見る
2007年の財政破綻以来、全国唯一の財政再生団体として国と北海道の管理下に置かれている。実質公債費比率は全国ワーストが続き、最高水準の住民負担と最低水準のサービスが今も続く。
埼玉県 飯能市 基金急減 ▶ 参考URLを見る
財政調整基金が2023年度末の14億円から2025年度末には4億円程度まで急減する見込み。公共施設の老朽化が進む一方で修繕費が捻出できず、約130事業の休止・廃止を決定した。
埼玉県新座市非常事態継続
2020年に「財政非常事態宣言」を発出し、現在も継続中。首都圏ベッドタウン特有の歳出超過が続き、徹底した歳出削減を断行している。
東京都日野市非常事態継続
2020年に「財政非常事態宣言」を発出し、現在も継続中。過去の土地区画整理事業による負担増に加え、社会保障費の急増が財政を圧迫している。
山梨県市川三郷町基金枯渇
平成の大合併で発行した合併特例債の返済がピークを迎え、経常収支比率は県内最悪水準に。基金の取り崩しも限界に達している。
愛知県 碧南市 非常事態宣言 ▶ 参考URLを見る
かつては地方交付税不交付団体だったが、法人市民税の減少により財政が急落。2025年9月に「財政非常事態宣言」を発出し、ごみ袋有料化など市民負担増を決定した。
三重県名張市基金枯渇
2024年に財政危機を公表。基金は2027年度に枯渇する見込みで、夕張市に次ぐ財政再生団体への転落可能性も指摘されている。
京都府京都市財政危機
高齢化に伴う義務的経費の増大が続き、令和3年頃から破綻可能性が全国的に報道された。敬老乗車証の廃止・保育料改定・職員削減など痛みを伴う改革が続き、政令指定都市の財政難の象徴となっている。
大阪府堺市財政危機宣言
2021年に「財政危機宣言」を発出。政令指定都市としての巨大なインフラ維持コストと、高齢化による社会保障費の増大が財政を圧迫している。
大阪府阪南市非常事態宣言
2023年9月に「財政非常事態宣言」を発出。財政調整基金の枯渇が目前に迫り、社会保障費の増大と公共施設の老朽化が重なっている。
兵庫県 宝塚市 非常事態決議 ▶ 参考URLを見る
経常収支比率の高止まりによる財政の硬直化が顕著で、2024年12月に市議会が市長に対して非常事態宣言の発令を求める決議を可決するという異例の事態となった。
岡山県 笠岡市 財政危機 ▶ 参考URLを見る
今後10年間で100億円超の財政赤字が見込まれ、2024年に危機を公表。2025年に10年間の健全化プランを策定した。
愛媛県 西予市 財政危機宣言 ▶ 参考URLを見る
合併特例交付税の終了で基金がほぼ枯渇し、2025年に「財政危機脱却プラン」を発表。給与カット・施設統廃合など45の改革を断行中。
愛媛県松野町財源不足
人件費高騰などで基金を大幅に取り崩し、2027年度には財源不足に陥る恐れがある。地元報道を中心に深刻化が伝えられている。
熊本県荒尾市財政危機
基金の減少による財政危機を2024年以降に公表し、住民サービスの見直しが報道されている。詳細は地元記事が中心。

※ 公式な「財政難ワースト10」ランキングは存在しない。総務省の健全化判断比率と報道規模を基準にピックアップ。URLは2025年時点のYouTubeニュース動画。削除される場合あり。

Q. 「財政非常事態宣言」ってどういう意味?
市や町の「お財布がピンチです」と自ら宣言することです。学校で言うと「このままだと給食費が払えなくなります」と校長先生が全校放送するようなイメージです。宣言することで、住民や議会に危機感を伝え、サービスの削減や節約を始めるきっかけにします。
Q. 「財政再生団体」って何がそんなに深刻なの?
会社で言えば倒産した状態です。借金が返せなくなって、国や都道府県の管理下に置かれます。自分たちで自由にお金を使えなくなり、住民サービスを大幅に削りながら借金を返し続けます。全国でいま起きているのは北海道の夕張市だけです。
Q. 「基金が枯渇」ってどういうこと?
基金とは自治体の「貯金」です。家庭に例えると、毎月の収入だけでは足りないので貯金を少しずつ取り崩して生活している状態。それがゼロになると、新しい借金をしなければ行政サービスを続けられなくなります。
Q. 「経常収支比率」って何?
毎年入ってくるお金のうち、絶対に払わなければいけない支出(人件費・借金返済・福祉費など)が何パーセントを占めるかを示す数字です。これが100%に近いほど、新しいことに使えるお金がほぼゼロの状態。市町村の平均は90%前後です。
Q. なぜ今、こんなに財政難の自治体が増えているの?
主に3つの理由が重なっています。①高齢化で医療や介護にかかるお金が毎年増え続けている。②昭和〜平成に建てた建物や道路の修繕時期が一斉に来ている。③人口が減って税収が減っているのに、払わなければいけない費用は減らない。この3つが同時に起きているのです。
共通する構造的原因

財政難自治体に共通する5つの要因

単なる放漫財政ではなく、以下の構造的要因が複合的に絡み合っているケースがほとんど

01
社会保障費(扶助費)の高騰
高齢化に伴う医療 · 福祉 · 介護関連の義務的経費の増大
02
公共施設の老朽化 · 更新費用の不足
昭和〜平成初期建設の施設の一斉更新期が到来。修繕費が払えない
03
財政調整基金(自治体の貯金)の枯渇
収支不足を補うために取り崩し続け、底をつく寸前の自治体が急増
04
合併特例交付税の終了
平成の大合併で交付された特例措置が終了し、一気に財政が悪化
05
物価高 · 税収減
物価上昇による歳出増と、産業空洞化 · 人口減少による税収減が同時進行
財政難予備軍 — 警戒自治体リスト

今は大丈夫でも、
2026〜2028年に危機表面化の可能性

公式な「予備軍リスト」は存在しない。しかし財政指標の悪化傾向・有識者分析・報道をもとに特定できる「隠れ財政難」の自治体群がある。総務省の健全化判断比率では黒字でも、実態は基金取り崩し依存で危機が迫っているケースが全国に広がっている。

危険信号
01
経常収支比率が100%に近い · 超えている
義務的支出が収入を食い尽くし、新規事業や施設修繕に回せない。市町村平均は90%前後。
危険信号
02
実質公債費比率が18%に迫っている
18%超で新規地方債に国の許可が必要。25%超で早期健全化団体に転落する。
危険信号
03
財政調整基金(貯金)が枯渇しつつある
毎年取り崩し依存が続き底をつく寸前。外見上は黒字でも実態は赤字構造になっている。
TYPE 01高齢化急進ベッドタウン型
自治体
財政悪化の主な理由
危険指標
神奈川県三浦市経常収支比率
高齢化率が県内トップクラス。経常収支比率が慢性的に100%前後に高止まりし、新規事業への資金捻出が困難な状態が続く。
経常収支比率 ≒100%
大阪府富田林市社会保障費増大
大阪のベッドタウンとして発展したが、住民の一斉高齢化で社会保障費が急増。経常収支比率が悪化傾向にあり行財政改革を急いでいる。
経常収支比率 悪化傾向
奈良県生駒市義務的経費増加
ベッドタウンとして成長してきたが、近年は義務的経費の増加で財政の余裕が失われつつある。首都圏・近畿圏の衛星都市に共通する構造問題。
財政余力 低下中
TYPE 02平成の大合併 · 公共施設過剰型
自治体
財政悪化の主な理由
危険指標
青森県むつ市将来負担比率
人口減少が進む中で広大な市域のインフラ維持費が重くのしかかる。合併特例債の返済ピークと施設老朽化修繕が同時進行し将来負担比率が高い水準にある。
将来負担比率 高め
兵庫県丹波市経常収支比率
複数の町が合併して誕生したが経常収支比率が高止まり。合併時建設のハコモノ維持費と借金返済が重なり、公共施設の統廃合が急務となっている。
経常収支比率 高止まり
TYPE 03観光インフラ維持 · 重荷型
自治体
財政悪化の主な理由
危険指標
静岡県熱海市実質公債費比率
観光業による税収はあるが急峻な地形のインフラ整備コストが高く、過去の負債返済負担が重い。実質公債費比率・将来負担比率が財政の弾力性を奪っている。
実質公債費比率 重い
静岡県伊東市将来負担比率
熱海市と同様の構造。観光ブーム期に整備したインフラの維持更新コストが税収に見合わなくなっており、財政の弾力性が継続的に低下している。
将来負担比率 高め
TYPE 04新庁舎 · 大型施設建設型
自治体
財政悪化の主な理由
危険指標
東京都小金井市建設費高騰
新庁舎建設問題をめぐり長年紛糾。仮庁舎と現庁舎の二重家賃を払い続けた時期もあり、事業遅延による無駄な支出が財政圧迫要因として繰り返し指摘されている。
事業遅延 · 費用膨張
東京都中野区 · 江戸川区 · 葛飾区起債返済
新庁舎の建て替えが進行中または完了。建設資材・人件費の高騰で当初予算から大幅に費用が膨張しており、将来の起債返済と維持管理費が財政の足かせになる恐れ。
将来の起債返済負担
TYPE 05実質公債費比率 · 警戒ライン突破型
自治体
財政悪化の主な理由
危険指標
奈良県御所市18%超過歴あり
過去に実質公債費比率が18%を超過し起債許可団体へ移行した実績がある。下水道などの公営企業赤字が一般会計を圧迫する典型例で、資金繰りの厳しさが表面化している。
実質公債費比率 18%超過歴
神奈川県大和市経常収支100%超
経常収支比率が初めて100%を超え財政の硬直化が表面化。米軍基地を抱える特殊な財政構造に加え、社会保障費増大で基金枯渇の可能性が指摘されている。
経常収支比率 100%超(初)
TYPE 06基金枯渇 · 収支不足型(2025〜2026年報道)
自治体
財政悪化の主な理由
危険指標
北海道札幌市収支不足210億円
2026年度収支不足210億円見込み。3基金が5年後枯渇、10年後累積赤字591億円の試算。大雪・災害リスクも加わり抜本的見直しに着手している。
基金 5年後枯渇リスク
北海道旭川市 · 釧路市実質単年度赤字
道内101市町村が実質単年度赤字となった2024年度決算で、中核都市として名が挙がる。公立病院の経営悪化と施設整備費の高止まりが共通の要因。
実質単年度赤字 継続
岩手県盛岡市2030年赤字36億円
中長期財政推計で2030年度に約36.6億円の収支不足が見込まれる。基金取り崩しで同年末には基金残高がマイナスに転落する試算。老朽化と社会保障費増が背景。
2030年度 基金枯渇見込み
静岡県(県レベル)財源不足640億円
2026年度予算編成試算で財源不足が640億円に拡大。「財政危機宣言レベル」との危機感が報道され、赤字地方債発行に頼らざるを得ない状況となっている。
財源不足 640億円
広島県(県レベル)基金7割減
2026年度末の財政調整基金が前年度末見込みから約7割減少の見通し。自動車産業依存の法人税収が変動しやすく、義務的経費増で財務余力が急速に失われている。
財政調整基金 7割減

※ 本リストは公式発表ではなく、有識者分析・報道・総務省財政指標をもとに整理した参考情報。状況は年度決算ごとに変化する。最新情報は各自治体の中期財政計画や総務省「地方財政状況調査」を参照のこと。

Q. 「財政難予備軍」とは?
今すぐ「財政非常事態」ではないけれど、このまま何もしないと2〜3年以内に危機になる可能性が高い自治体のことです。病院で言うと「まだ病気ではないけれど、このままいくと糖尿病になりますよ」という予備段階のイメージです。
Q. 「経常収支比率100%超え」って何がいけないの?
お小遣いが月3,000円のとき、決まった支払い(習い事・携帯代など)で3,000円以上かかる状態です。残りがマイナスなので、貯金を削って毎月生活することになります。自治体も同じで、新しい公園を作ったり施設を直したりするお金がまったく残りません。
Q. 「実質公債費比率18%超え」って何がいけないの?
収入の18%以上が借金の返済に消えている状態です。家庭で言えば、月収30万円のうち約5.4万円以上が借金返済に消えているイメージ。この水準を超えると、新しい借金をするのに国や都道府県の許可が必要になります。自由にお金を借りられなくなるのです。
Q. 「隠れ財政難」って何?
表の数字(決算書)では黒字に見えるけれど、実態は毎年貯金を取り崩して黒字を作り出している状態のことです。貯金がゼロになったとき、一気に赤字が表面化します。タコが自分の足を食べているような状況です。
Q. 「合併特例交付税終了」って何?
平成の時代(2000年代)に、国は小さな町や村を合併させるために「合併したら10年間お金を多く渡しますよ」と約束しました。その期間が終わったとき、急に受け取れるお金が減って財政が苦しくなります。合併の時にたくさん施設を建てていた自治体ほど、この「ツケ」が大きくなります。
Q. この問題、私たちに関係あるの?
大いにあります。財政難になると、図書館・公民館・プールなどの施設が閉まります。バスやゴミ収集の回数が減ります。道路の穴が修繕されなくなります。子どもへの医療費補助がなくなる場合もあります。住民サービスの質が直接下がるのが一番身近な影響です。
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